IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

理事長賞 B05Tokyo記念サステナブル建築・住宅賞(その他ビルの部)

「西南学院中学校・高等学校」

撮影:河野 博之

建築主学校法人西南学院
設計者(株)日建設計 鹿島建設(株)
施工者鹿島建設(株)
建設地福岡市早良区
構造教室棟:RC造 体育館:SRC造 駐輪場:S造
階数地上4階
延床面積36,273m2

講評

本応募作品は建物用途が中学・高等学校という教育施設であり、血気盛んな10代の若者が環境建築に対する正しい感覚を直接肌で感じて学ぶことができると言う意味で、とても意義深い作品と言えよう。この建物で学んだ学生諸君が、将来必ずや正しい環境感覚を有する大人に成長されるものと期待するものである。
というのも本建物は様々な自然エネルギー利用手法を盛り込んでおり、それらをフォローアップするために各種データを電話回線によってダウンロードしながら、運用者たる施主と設計者が一体となって省エネ運転を目指している。吹き抜けアトリウムを生かした断面構成、環境コントロール計画が中、高等学校において実現されており、明るく開放的な教室であり、採光も北面からとし安定した拡散光導入を行いながら照明の昼光制御も取り入れている。窓は二重とし冬期のコールドドラフトを防止している。また4層吹き抜けのアトリウムの1階には開架式の図書館を設けており、オープンな運用管理を提案している。アトリウム頂部には熱溜り空間、日射遮蔽、自然換気口を巧みに設けている。他にもクールアンドヒートチューブを採用しており、冷暖房の供給をしないで換気設備のみで卓球場、トレーニング室、柔道場、剣道場を効果的に自然力での軽い冷暖房をしており、学校建築として室内空気は新鮮で温熱制御は軽めにするという理想的な形ではないかと思える。通常のチューブと異なり床下配管ピットを兼用しているので高効率でありながら施工コストが殆どかからないという長所がある。また体育館屋根面を利用して雨水の便所洗浄水としての再利用を図っている。また外周壁は、通気が図られた中空部をもつ煉瓦の2重積み壁であり、熱負荷低減効果を発揮しているとともに、風格ある外観を実現している。
よって自然と調和した快適環境を創造するという設計コンセプトを満足するものであり、学校建築のモデルになるものである。

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