審査委員会奨励賞B05Tokyo記念サステナブル建築・住宅賞(その他ビル部門)
「インキュベーション・オン・キャンパス本庄早稲田」
建築主 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構 |
設計者 | (株)日本設計 |
施工者 | 戸田建設(株) 新菱冷熱工業(株) (株)九電工 |
建設地 | 群馬県本庄市 |
構造 | RC造 |
階数 | 地上3階 |
延床面積 | 8,160m2 |
講評
省エネルギー、省資源、里山に棲息しているオオタカへの配慮を主体とした生態系や自然環境との共生を主たる設計コンセプトとした「大学」と「地域産業」との共同研究施設である。
ゾーニングのフレキシビリティを確保するための空間構成、里山との調和を図った建築形状、地形の復元などの建築計画における配慮、設備環境に配慮した計画・設計が行われている。後者に関しては、通風に適した屋外環境を最大限活用すべく、ソーラーチムニーと定風量換気スリットを設けて、通風による涼房を行っている。廊下に配した多数のソーラーチムニーが五月蠅い感じがするが、屋上まで繋がる竪シャフトでもあるため、各研究室からのダクトや配管の立ち上げルートとしても機能している。緑化庇と袖壁による日射制御を行っている他、断熱性能にも配慮して空調負荷を低減している。空調はファンコイルユニットと放射冷暖房パネルの併用、照明は、木製格子天井を利用したタスク&アンビエント照明としている。また、雨水・空調ドレインの再利用を図り、上水削減効果が得られていた。
オオタカにとって不自然な近代的建材を用いたファサード、既定の熱源機器に基づく空調計画、大規模な土工事など、サスティナブル・デザインに馴染まない面もあるが、全般的に色々と考慮された建築物である。