理事長賞第2回サステナブル建築賞(商業・サービスビル部門)
「梼原町総合庁舎」
建築主 | 梼原町 |
設計者 | 慶應義塾大学+隈研吾建築都市設計事務所 (株)中田捷夫研究室 (株)日建設計 (有)ケイズ設計 |
施工者 | 飛島・ミタニJV (株)四電工 (株)山武 |
建設地 | 建設地 |
構造 | 木造・RC混構造 |
階数 | 地上2階地下1階 |
延床面積 | 2,971m2 |
講評
環境負荷の抑制への配慮が行き届いた設計であり、CASBEE(建築物総合環境性能評価システム)はSを実現している。地場産材を活用し、森林保全や地場産業との連携を積極的に意識し、環境保全への取り組みが地域社会の営みとして実践されている。こうしたことへの町長をはじめとする職員の理解が行き届き、うまく運用されており、その裏付け資料も充実している。
庁舎は屋根いっぱいに太陽光発電を載せており、木材が太陽エネルギーの恵みによる資源であることを緑深い山に囲まれた立地の中で実感できる建物となっている点が注目できる。庁舎がサステナビリティに優れた建物であることを、地元の教育にも活用している。集成材の重ね梁による大スパンを活用した混構造、複層ガラスと木質パネルを用いた外装は、面白いデザインを実現している。正面に広場が設けられているが、それに面した吹き抜け空間は、効果的に活用されている。山間の小さな町であるが、役場を中心とする街づくり事業の中に位置づけられ、今後の展開が期待できる。なお、役場前の広場はアスファルト舗装であるが、今後、環境に馴染む舗面への改装が望まれる。小規模な地方自治体のサステナブル建築の実現への取り組みの優れた事例として、様々な点で参考になるものとなっている。