審査委員会奨励賞第2回サステナブル建築賞(事務所ビル部門)
「トヨタ自動車本館」
建築主 | トヨタ自動車(株) |
設計者 | トヨタ自動車(株) (株)日建設計 清水建設(株) |
施工者 | 清水建設(株) |
建設地 | 愛知県豊田市 |
構造 | S造、一部SRC造 |
階数 | 地上15階地下1階 |
延床面積 | 64,988m2 |
講評
建築と設備の多岐にわたって、きめ細かな省エネルギー技術が巧みに統合されている。大型縦型ルーバー、ひさし、複層LOW-eガラス、グラデーションブラインドから構成されるファサードは、日射熱の制御と昼光利用照明に加えて夏季排熱、中間期の外気導入、冬期のコールドドラフト防止など、室内気候を調整するための多機能な環境装置となっている。床吹出空調をベースにした空調システムは、室温の均質な分布を実現し、個人的な要求への対応も可能としたもので、完成度は高い。近年のオフイスでは、より高度な執務環境とするため、執務者間のコミュニケーションはもとより、親自然的なリフレッシュメントを感じさせるコミュニケーションスペースが求められる。「バーティカルビレッジ」と名づけられた吹き抜けスペースは、このような目的のために各階に設置されたもので、自然の光や風を感じさせるとともに建物全体の自然換気を促進する機能もあわせ持つ。
半地階の大食堂の巨大な光ダクトは長年の技術開発の成果であり、昼光利用とともに、空間の開放感を増大している。新しい試みのために、実験やシミュレーションなどが広範に行われていること、竣工後の運用実態がフォローされ、より効率的な運用にフイードバックされていることも高く評価できる。