国土交通大臣賞第3回サステナブル建築賞(事務所ビル部門)
「新丸の内ビルディング」
建築主 | 三菱地所(株) |
設計者 | (株)三菱地所設計 |
施工者 | (株)竹中工務店 三機工業(株) 東光電気工事(株) (株)西原衛生工業所 |
建設地 | 東京都千代田区 |
構造 | S造、地下SRC(一部S造) |
階数 | 地上38階地下4階 |
延床面積 | 195,401m2 |
講評
周知のとおり、日本の一等地に建つトップクラスの超高層事務所ビルである。国際ビジネスセンターとして機能することが標榜されており、まさに現代日本の「顔」として、世界も注目する建築物である。このビルのテナント料は、日本の経済的価値を左右すると言っても過言ではない。
こうした条件の下に、本ビルは、(1)東京駅前広場の景観の一部を形成する品格のある外観デザイン、(2)大スパン架構でフレキシビリティの高いオフィススペース、(3)耐用年数100年を想定したロングライフ対応、(4)商業施設やアメニティ施設の設置、などの要素が具現化されている。こうした要素は国際ビジネスセンターとして求められる要素であり、本ビルは、誰もがハイクラス・高品質であると認めるに違いない。
こうした建築の基本要素に加え、サステナブル対策も派手さはないが手堅く行っており、このビルの大きな特徴となっている。例えば、(1)電動ブラインドやエアバリア・専用吹出口によるペリメーター空調システム、(2)空調ドレインの廃熱回収(空調の予冷に利用)、(3)アモルファス変圧器の採用などは、堅実であり且つ新規性もある省エネ手法である。また、緑化やリサイクル材の採用、太陽光発電などの、通常の環境対策も堅実に行われている。なお、空調熱源は、地域冷暖房からの熱供給を受けているので、このビルの独自のものではない。1次エネルギー消費量の実績値が2,647MJ/m2年と、やや多目であるが、これはテナントが使用するパソコンやサーバーなどの消費量が大きいことが原因と見られている。
とにかく、一等地に建つ、質の高い建築であり、サステナブル対策も堅実且つ優等生的に行われており、チャレンジ精神やインパクトにはやや欠けるかもしれないが、日本の「顔」として国土交通大臣賞に値するものと考えられる。