審査委員会奨励賞第3回サステナブル建築賞(その他ビル部門)
「大成建設技術センター本館」
建築主 | 大成建設(株) |
設計者 | 大成建設(株) |
施工者 | 大成建設(株) |
建設地 | 神奈川県横浜市 |
構造 | RC造、一部S造 |
階数 | 地上4階地下1階 |
延床面積 | 6,409m2 |
講評
本技術研究所は1979年に竣工したが、2007年に全面的なリニューアルを行い、新しい機能を持った建物になった。リニューアルの目的は、(1)省エネルギー改修、(2)改修技術の開発・実証、(3)施設内コミュ二ケ-ションの誘発、等である。クリエイティブボックスと呼ばれる吹き抜けの増床部分では新技術を多用し、既存施設は最小限の改修にとどめている。採用された技術を要約すると、
(1)クリエイティブボックスに採用された省エネルギー技術
a.薄型ダブルスキン
工業化が可能なユニット化された薄型ダブルスキンを開発・設置している。この多機能なダブルスキンは床の有効スペースを確保すると共に、今後、省エネルギー技術として広く普及する可能性がある。
b.ETFEフィルム
調光天井となるETFEフィルムを開発・設置している。上下2枚のフィルムは市松模様となっており、ファンで膨らませると模様の重なり具合から、自由に調光できるシステムとなっている。屋根部分がガラスの建物には大きな省エネルギー効果と良好な室内光環境を提供できるシステムである。
c.ダクタル床版
軽量・高強度で火災に強いダクタル床版を採用し、軽快な室内環境を提供している。
(2)既存部分に採用された省エネルギー技術
a.天吊り型パーソナル空調
タスク系統とアンビエント系統の2系統のダクト間に照明器具を配したユニットを基本としたシステムで、自席PCから風量風向制御が可能となる省エネルギー技術である。
b.空調エコダクト
鋼板製ダクトと比較すると、5分の1の重量の段ボールとアルミ箔で作られた空調エコダクトが開発・設置されている。搬送、施工が容易であり、今後の普及が期待されるエコダクトである。
この他、天井レス、氷水直接搬送システム、エコビルモニター等が採用され、一次エネルギー消費量は都内の平均的な建物値と比べて38%減、リニューワル前と比較して34%減となり、十分、目標は達成されている。CASBEE評価もSランクとなっている。本建物は省エネルギー改修という課題に対して、実務的な側面から効果的な技術を開発しており、今後、社会に対して大きく貢献するものと考える。