国土交通大臣賞第6回サステナブル建築賞(小規模建築部門)
「浜松信用金庫 駅南支店」
所在地 | 静岡県浜松市 |
構 造 | RC造 |
規 模 | 995m2 地上2F |
建築主 | 浜松信用金庫 |
設計者 | (株)日建設計 |
施工者 | アサヒハウス工業(株) |
講評
信用金庫支店の営業待合室・事務室から成る地上2階建て(RC造+S造)の小規模建築物(建築面積820m2)で、外観が印象的な作品である。内外装に天竜杉(地産)が使用されており、特に内装材は、建物に入ったときに視覚的な柔らかさを室内空間に与え、また、柔らかな室内空気質の実現に寄与している。
建築デザインと言えば、空間デザインを意味し、関連する設備システムでも、特に小規模建築であれば、空間の温度・気流分布などをできるだけ一様にすることが目標とされがちだが、この建物では、動的な環境デザインを主たるテーマとして取り上げているところが大きな特長である。具体的には、
a)執務者・利用客では熱的履歴が異なるので、そのことに対応したデザインとして空調椅子を提案し実現している、
b)穏やかな変動を敢えてつくる、緩やかな不均一をつくるタスクアンビエント暖冷房を空調椅子との組み合わせで実現している。また、夏と冬で色温度を可変とする電灯照明や、この建物の使用者に外気温・室温・風・雨の状況を表示して、自然換気の可・不可を知らせるエコサインの採用など…意欲的な取り組みがなされている。
空調椅子については、モックアップを作って物理的な性状を確認する実験とともに被験者体感実験を行なって実証的な設計と建設を行なったことを高く評価したい。
屋根からの熱侵入(あるいは熱損失)は、この建物では大きな割合を占めているはずであるが、その屋根のほぼ全面に設けられた太陽電池から得られる電力によって、この建物における全電力負荷の30%分を自家消費している。
太陽電池屋根は合理的な建築外皮デザインの一つとして評価できるが、この外皮(屋根)デザインが、さらに屋根断熱との組み合わせデザインとして次なる高度なステージへと進展していくことが期待される。