IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

審査委員会奨励賞第6回サステナブル建築賞(小規模建築部門)

「ヤンマーミュージアム」

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所在地 滋賀県長浜市
構 造 S造
規 模 2,910m2 地上2F
建築主 ヤンマー(株)
設計者 (株)日本設計
施工者 清水建設(株)

講評

本施設は農家の出身である創業者が最初に行った、小型ディーゼルエンジンやその開発ストーリー、及びその変遷を中心的展示物として、その技術に関連する各種の機器や技術を展示している。エンターテイメントと学習が融合した体験型ミュージアムとして、本物の農機具などを実際に操作したり、各種のさわっていじれる器具などを設置して、子供たちが見て、感じて、学ぶことを目指している。大きなテーマとしては、この、“施設に表現された「資源循環型社会の実現」「地球規模の課題への取り組み」を、未来を担う子供たちが「見て・感じて・学べる」環境建築”というテーマの他にも、“地元長浜市の更なる活性化・発展につながる、長浜のまちなみに相応しい建築、長浜市へ貢献できる建築”といったテーマ、も挙げていて、実際にその効果を上げている。
建築的には長浜のまちなみの特徴である舟板塀と水景をデザインに取り入れ、自然採光、自然換気のパッシブ手法に建物周辺を取り巻く池(水盤)をうまく融合させている。また、大きく張り出した屋根は日射遮蔽効果をもたらすとともに、雨水を池に落としてその波紋の反射効果で室内の光を変動させるなど、自然採光にデザインを加えている。屋上のビオトープは、周辺環境の緩和、熱負荷低減に役立つとともに、その地の小魚を放つなど子供たちの自然とのふれあいの場となっている。 設備的にはヤンマーのコジェネと太陽光発電による電力供給、コジェネの排熱を利用したデシカント空調、ビオトープに隣接した足湯に対する熱供給などを行い化石燃料削減と省エネシステムの学習と体験を目指している。
エネルギー消費量は初年度が1,869MJ/m2年であり、2年目にはチューニングにより1,797MJ/m2年と少し減少している。
以上のように、この施設は、地球環境や資源循環というテーマと企業理念をうまく組み合わせて建築物として美しく構築している。また、地域との連携、地域の活性化などを企業のCSRの一環としてこの施設を拠点として行い、体験型ミュージアムとして優れた活動を行っている。魅力的な建物であり、環境計画という面でも優れているが、エネルギー消費量という点では設備的にさらに検討の余地があったかもしれない。

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