IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

理事長賞第7回サステナブル建築賞(中・小規模建築部門)

「ダイダン(株)スマートエネルギーラボenefice 九州」

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所在地 福岡県福岡市
構 造 S造(地下階 SRC造)
規 模 1,384m2  地上3F/地下1F
建築主 ダイダン(株)
設計者 ダイダン(株)/(株)NTTファシリティーズ
施工者 ダイダン(株)

講評

本建物は、自社開発を行った技術を含む、種々の技術を適正に活用することにより、ZEB建築を目指している。
建物を計画するにあたって最も重要な快適性確保と負荷軽減において、ファサードエンジニアリングによる負荷軽減、自然通風や自然採光に考慮した建物であり、地下一階まで木漏れ日のような光を導入するスカイライトは開放的な空間を演出している。また、アンビエントとタスク域を設定し、放射空調の適用、LED照明の採用や明るさセンサーとの組合せなどによる負荷低減を行っている。さらに、気流性状や室内の明るさの広がりなども考慮して開発された照明・空調・防災などの設備機器の一体型ユニットを採用し、工期短縮や作業効率の向上もなされている。
このように削減された負荷をまかなう設備システムとして、地中熱採熱システムにより、冷房時は直接放射パネルや躯体内のチューブに高温冷水を送水、暖房時にはヒートポンプのヒートソースとして利用することにより、熱源システムの効率向上と電力負荷平準化を図っている。また再生可能エネルギーの活用にも積極的であり、太陽エネルギーの発電利用のみではなく熱利用も行っており、太陽光発電システムにおいては直流給電と蓄電の課題にも取り組んでいる。さらに非常に重要なポイントとして、設備容量の最適化として「ダウンサイジング設計」という考え方を重視している。これは建築的な負荷削減の努力を生かすためにも必須な考え方であるにも関わらず、多くの設計でなされていない項目であり、「ダウンサイジング設計」による省エネルギーへの寄与が分析、公表されることを切に望むものである。
設計・施工時の努力が十分になされた建物のポテンシャルを発揮するためには、環境・エネルギーなどのモニタリング、分析、そして運転へのフィードバックが必要である。本建物は豊富な経験を持つ総合設備業により所有される建物であるので、運用開始後の性能検証も十分になされる。室内条件の適正な設定、各種熱源の適正な運転、直流/交流の変換効率、充放電効率などを考慮した直流給電システムのチューニングなどを継続されることを期待するものである。
以上のように、本建物は従来技術の正しい活用と新技術との最適な組み合わせによりZEB建築を目指しており、またコストの面からも普及の可能性は大きいという点からサステナブル建築賞にふさわしいと考えられる。

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