国土交通大臣賞 第1回SDGs建築賞(中・小規模建築部門)
「戸田建設 筑波技術研究所 グリーンオフィス棟」
所在地 | 茨城県つくば市 |
構 造 | RC造(免震構造) |
規 模 | 延床面積 674.38m2 地上2階 |
建築主 | 戸田建設㈱ |
設計者 | 戸田建設㈱一級建築士事務所 |
施工者 | 戸田建設㈱関東支店 |
講評
本建物は、戸田建設の各種環境技術の実証を目的に建設した研究施設を、研究所職員が利用する事務所に改築した建物である。改修部位は、免震構造の躯体以外の外装、内装、設備である。「行動を誘発させる建物計画」、「新しい働き方に対応した運用」、「カーボンマイナスの実現」をコンセプトに計画されたものである。また、このコンセプトに基づきSDGs達成に向け数多くの技術、工夫を取り込んでいる。
採用された具体的技術や工夫を紹介すると、パッシブデザインでの熱負荷低減技術として、外装ユニット(常緑、落葉を組み合わせた複数のツタ植物とルーバーを組合せた外装ユニット)真空ガラスによる高断熱化、雨水の潅水利用、太陽光発電、室外機騒音低減のための防音壁がある。建物の長寿命化を図る技術として、セミアクティブオイルダンパー免震や極低収縮コンクリートの採用等がある。また、省エネに関する技術として、地中熱利用熱源システム、潜顕分離空調、BEMSを採用し、敷地内での電力融通も行っている。執務環境の快適性を向上させる技術や手法として、バイオフィリックデザイン、ビオトープ、タスクアンドアンビエント空調、ブラインドによる昼光利用制御、自然換気(換気窓+チムニー)、サーカディアン照明(設定により時間ごとに色温度、照度をコントロールし執務者の作業効率を向上させる)を採用し、ウェルビーイング(パブリックアートとの融合したリフレッシュスペースの設置他)にも取り組んでいる。建設会社の研究施設と言うこともあり、数多くの技術や工夫を取り込んでいる。
特筆すべき点としては、様々な技術を導入しZEBを実現するとともにSDGs評価5である点はもとより、他の応募作品と違いライフサイクルでのカーボンマイナスを実現することを目標に建設されたことである。ライフサイクルとしての期間は改修から解体までで、約70年を想定している。また、建築計画としても単なる壁面緑化だけでなく、木質系ルーバーと常緑、落葉を組み合わせた複数のツタ植物とをユニット化するなど、四季を感じさせるデザインや、ビオトープから壁面緑化、室内緑化とのつながりなど、建築計画としても完成度が高い。