IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

審査委員会奨励賞第1回SDGs建築賞(中・小規模建築部門)

「熊谷組福井本店」

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所在地 福井県福井市
構 造 木造+S造(ハイブリッド構造)
規 模 延床面積 1,190.85m2 地上4階
建築主 ㈱熊谷組
設計者 ㈱熊谷組一級建築士事務所
施工者 ㈱熊谷組北陸支店

講評

 本施設は、創業の地に木化建築を目指し、鉄骨造と木造のハイブリッド構造で、徹底した省エネルギー手法および太陽光発電によるNearly ZEBの実現(計画時BEI=0.17)と同時に、働く人に健康と快適性を提供するウェルネスオフィスを目指したものである。
  構造は、1階ならびに1~4階のコア部分を鉄骨造、その他2~4階部分は木造のハイブリッド構造としている。木部の柱・梁は集成材の外周に硬質石膏ボードと断熱耐火パネルを組み合わせることで、火災時の燃焼を防ぐ燃え止まり層をつくり、薄く仕上げることができたという。南側ファサードでは透過型両面発電太陽光パネルを、またその下部、視線を遮らない高さにライトシェルフを設置し、日射遮蔽と明るさ感向上を実現している。さらに窓面下部には、プランターによる壁面緑化を図り、まちなみに対して特徴ある外観を形成している。
  熱源は部分負荷に追従する熱源の選定と、配管口径拡張や大温度差化による摩擦損失低減で搬送動力の最小化を図っている。事務室系統の空調は、別々のコイルで潜熱と顕熱を処理する潜顕分離空調機を用い、大温度差制御が可能となっている。空調吹出しは床吹出しとし、床内にループ状のソックダクトを設置し、そのループ内のみに吹出すことで居住域に限定した無駄のない空調としている。また床には空調用穴開カーペットを用い、均一でゆるやかな気流により快適性向上を図っている。建設地では年間降水量が大きいことから16㎥の雨水貯留槽を設け、ZWB(Zero Water Building)の取り組みも積極的に行い、BCP対応にもつなげている。
  ウェルネスオフィスを目指して設計者は建物管理部門と連携しながら執務者自らが働く場を議論するワークショップを開催してきた。事務室ではフリーアドレスでありながら、個別ブースの導入も図っている。継続的な運用面での改善や分析も実施され、SDGs建築賞 審査委員会奨励賞にふさわしいと考える。

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