住宅・建築SDGs推進センター理事長賞第2回SDGs建築賞(大規模建築部門)
「清水建設 北陸支店新社屋」
所在地 | 石川県金沢市 |
構 造 | RC造、一部S造 |
規 模 | 延床面積 4,224.46m2 地上3階/地下1階 |
建築主 | 清水建設㈱㈱ |
設計者 | 清水建設㈱北陸支店一級建築士事務所 |
施工者 | 清水建設㈱北陸支店/三谷産業㈱/松下管工業㈱/北陸電気工事㈱ |
講評
本建築は、100年以上続く清⽔建設の北陸地域の拠点である⽀店の4代⽬の建替え計画である。設計のテーマとしては、⾦沢の歴史を尊重しつつ、持続可能な社会の実現、新しい働き⽅への取り組みをこの地域に発信することを⽬的としている。具体的な設計内容の中で何点か特徴的な点をあげると、まず外装デザインは、コンクリート打ち放しの壁、柱、庇と、ガラスとルーバーで構成されている。東⻄⾯のルーバーは⾦沢の伝統的街並みにみられる⽊⾍籠(きみすこ)を3Dプリンターを⽤い、古都⾦沢の伝統的な⽇本建築を現代⾵にアレンジしたものである。また、⾼さと配置を旧社屋と揃えてボリュームを抑えることと⾼⽊を残すことにより、落ち着きのある佇まいを実現している。省エネルギーに関しては、パッシブ技術とアクティブ技術を組み合わせnetZEBを実現している。2階上部のハイサイドライトからの⾃然採光や地下⽔・地中熱の活⽤、⾃然換気などのパッシブ技術に加え、躯体蓄熱放射空調、フロアフロー空調、温度成層型⽔蓄熱層などのアクティブ技術を採⽤するとともに、太陽光発電と余剰太陽光発電電気を⽔素として貯蔵するシステムを採⽤している。この⽔素活⽤技術は、オフィスビルとして初めて採⽤され実運⽤を⾏っているものである。このシステムにより、柔軟なデマンドレスポンスへの対応と災害時のBCP対応をしている。ワークプレイスは、地産の能登ヒバを耐⽕被覆として利⽤した耐⽕⽊鋼梁を⽤い30m×30mの⼤空間を実現している。この空間を⽤い、そこに設計コンセプトの⼀つである「みんなの顔が⾒えるオフィス、多様な働き⽅を推進するオフィス、健康に働けるオフィス」を実現するためABW、グループアドレスを採⽤し、社員のコミュニケーション活性化を図っている。また、ワークプレイスの設計にあたってコンセプトを整理するために実際にそこで働く社員の意⾒を取り⼊れ、コンセプトを明確化した上で、設計を進めたことも評価できる。建設会社の⾃社施設ということもあり、新技術を建築、設備とも数多く取り⼊れている。かなり多くの新技術を採⽤しているにもかかわらずまとまりがあり、全体的に外観デザインも含め洗練され、バランスの取れた建築である。