審査委員会奨励賞第2回SDGs建築賞(大規模建築部門)
「アズビル藤沢テクノセンター 第103建物」
所在地 | 神奈川県藤沢市 |
構 造 | S造 |
規 模 | 延床面積 10,682.39m2 地上6階/塔屋1階 |
建築主 | アズビル㈱ |
設計者 | ㈱日建設計 |
施工者 | 大成建設㈱/高砂熱学工業㈱/川本工業㈱/㈱きんでん |
講評
本施設は、⾃動制御メーカーの研究開発拠点における様々な実験作業環境を担う建物であり、先端技術の開発のみにとどまらず、試して、⾒て、体験できる空間としている。施設は6階建て延床⾯積10,682m2で、3〜6階部分の実験室のほか、1階のカフェテリアと協創エリアを持つコワーキング、物流機能、2階の1⽇1200⾷を提供する社員⾷堂兼ワークプレイスから構成される。正⾯ファサードは⻄向きで、動線上の外装は開放する⼀⽅、実験室が⼊る3階以上は縦リブを付属し、同時に開⼝そのものは絞り研究所らしい仕上げとなっている。実験に対応するため可変性を重視してコアは外付けとし、天井も露出仕上げとしている。このことは最⼩限の建築で最⼤限の空間につながり、また⾒学者に設備・センサーを直接⾒せることにもつながっている。中間期でも1台の空調機が冷⾵・温⾵を交互に供給することで2管式対応を可能にすることや、縦型蓄熱層を利⽤することで蓄熱温度の可変化、太陽熱利⽤率の向上も図られている。2階⾷堂では、⾷事時間以外ではワークプレイスとしての利⽤を想定しており、照明の⾊温度設定も交え、好みの温熱環境を選択できる環境選択型空調としている。1階のコワーキングスペースでは分散型VAV によりパーソナル性を確保している。また建設時のCO2排出抑制のため、段ボールダクトの採⽤や、断熱材をダクト内張りにすることで外装ラッキング⾦属の削減など、材料への取り組みも実施している。BEIはモデル建物法で0.69、BEST Programでも0.56とZEB Readyには届いていないが、実運⽤データでは0.30となり、実質70%の省エネを達成している。プログラムによる計算結果と実績値の⽤途ごと、⽉別の⽐較検証を実施しており、計算上評価しにくい項⽬の今後の適正な評価にもつながる情報と考える。これらの取り組みはSDGsとの対応も踏まえて計画・実施されており、SDGs建築賞審査委員会奨励賞にふさわしいと考える。