国土交通大臣賞第10回環境・省エネルギー建築賞(その他ビル部門)
「北海道立北方建築総合研究所」
所在地 | 旭川市 |
構造 | S、一部RC造 |
規模 | 延床面積8,356m2 地上4階地下1階 |
建築主 | 北海道 |
設計者 | 北海道立北方建築総合研究所 中原・ブンク・柴滝JV 岡ハス・環境・西村JV |
施工者 | 廣野・タカハタ・大槻JV 畠山・岸田・西館JV 北野・旭栄・米田JV 盛永・谷脇・大崎JV 新谷・モリタ・曾田JV 川島・堀JV 高・菅原JV 荒井・川村・谷口JV 西山坂田・中央・稲井JV 東邦・下村・高張JV 大東・クマザキ 新栄JV 日進・落合・ハンキJV 日東北王・サカイ・エーピーテクノJV 飯塚・山本・ノールJV 木本・大脇・永井JV 東洋・鹿取・旭川建築JV,大洋・成田・田下JV |
講評
旭川という地域の気候特性に配慮し、外断熱、LowEガラス、ライトシェルフ、アトリウムの日覆い、通風装置などの建築技術がバランスよく導入されている。設備面でも、パッシブ換気、雪と氷による冷房、シンプルな熱源装置など多様な工夫がみられ、それらの総合により優れた省エネルギー効果を発揮している。とりわけ、昼光利用による照明負荷の削減量は画期的である。おそらく、計画を上回る省エネが達成されていると思われるが、それは使用者の徹底した実践に基づく結果に他ならないわけで、運用管理の重要性を物語るものである。特性の異なる研究棟と実験棟をむすぶアトリウムの活用法も、建築計画と環境の両面において合理的で説得力がある。
北方型の省エネルギー環境建築のショーケースとしての成功例であり、かつ、その先駆性を高く評価できるとともに、建築的・景観的にも優れたものとなっている。
入居者である建築研究の専門家集団が計画・設計に深く関与できた点において一般建築との単純な比較を難しくしているが、一方で限られた予算と庁舎建築としての制約の中で達成された成果に対し、そこへ向けての取り組みの姿勢と努力を高く評価したい。
また、地元企業40余社の共同企業体による施工であるが、地域の建設産業の活性化と技術力の向上への貢献も特記に値するであろう。
研究者の蓄積と思いを実現させた幸せな建築である。