理事長賞第10回環境・省エネルギー建築賞(事務所ビル部門)
「ニッセイ新大阪ビル」
所在地 | 大阪府大阪市 |
構造 | RC・SRC造、S造 |
規模 | 延床面積97,971m2 地上21階地下2階 |
建築主 | 日本生命保険相互会社 |
設計者 | (株)日建設計 |
施工者 | 三機工業(株) |
講評
ニッセイ新大阪ビルは、変貌を遂げつつある新大阪駅周辺地区において、永く使われるテナントオフィスを目指してハイクオリティな環境づくりを追及すると同時に「ロングライフビルへの取り組み」「実効性の高い省エネルギー計画」「施工段階での廃棄物削減、再資源化に関する取り組み」を実践している。長寿命化における各種リニューアルの発生頻度と工事手順を周到にスタディし、そのための必要な空間を計画当初から盛り込んでいるという稀にみる高品質設計である。その内容は、オフィス中央部に設けた多機能ボイドと称する二つの外部吹き抜け空間の提案からスタートしており、このボイド空間を活用した主要機械類の搬出入計画、主機械室の3階配置、主機械室内でのリプレイス計画、基準階予備スペースの設置、ボイド内リプレイス計画、屋上屋外機設置スペースでのリプレイス計画など確固たるものがある。多機能ボイドは配管ダクトスペースでもあるし外気冷房、採光にも効果を発揮し、特に内部発熱の多い本建物において全外気冷房を可能にしていることは高い評価に値するものである。そして評価の確立している省エネ手法をほとんどすべて採用しており、その一次エネルギー削減量は実績ベースで約19%であり、オフィスビルに長寿命化による省資源というコンセプトを持ち込んで、過去に例のない新しい計画手法を具体的に示したもので、今後の動向に示唆を与えるところが大きく、感慨深い玄人好みの建物といえる。