国土交通大臣賞第2回サステナブル住宅賞
「K邸」
建築主 | 個人 |
設計者 | (有)小泉 アトリエメジロスタジオ |
施工者 | (株)アイガー産業 |
建設地 | 横浜市 |
構造 | 木造 |
階数 | 2階建 |
延床面積 | 142m2 |
講評
K邸は、建築家の自邸として横浜市青葉区に建てられた。まず特徴的なのはその外観である。郊外の丘陵地にある敷地は、隣接する道路との間に高低差があるが、この道路と連続する屋根を架け渡し、既存の樹木も残し、活用して、緩やかな起伏を持つ新たな「地形」を造り出している。
外観は閉鎖的に見えるが、適切な位置に大きな開口部があり、巧みに演出された光が入ってきて、内部は驚くほど明るく開放的である。壁は充填工法+外断熱工法となっており、開口部もLow-e真空ペアガラスが採用され、内部の広々とした空間を断熱性の高いエンベロープが覆っている。その平面計画は当初2世帯住宅として計画され、段差が無く手すりが設けられ、各出入り口も引き戸中心でその幅も十分確保された車いすに対応したバリアフリー化が徹底されており、長く使い続けることが可能である。
設備計画では床暖房を採用し、また床・壁に蓄熱体を入れ室温の平準化を図ることで内部空間の快適性を確保している。床暖房は熱放射率を上げるために表面仕上材を薄くしたものを採用している。さらに、蓄熱体をガラスの内側に配して透過性を持たせた光壁を提案している。
省資源化の取り組みとしては、雨水のトイレや植栽散水への利用、屋上デッキでの再生人工木材の採用などがある。さらに構造計画では断面の小さい多数の柱で建物を支えるため、主要な構造材の省資源化も実現している。
このように、本作品はサステナブル住宅へ向けての多様な取り組みを行った極めて質の高い住宅である。