国土交通大臣賞第3回サステナブル住宅賞(新築部門)
「Q=0.64臥龍山の家(サステナブル住宅)」
建築主 | 個人 |
設計者 | (有)西方設計 室蘭工業大学鎌田研究室 |
施工者 | (有)池田建築店 |
建設地 | 秋田県能代市 |
構造 | 木造 |
階数 | 2階建 |
延床面積 | 150m2 |
講評
「Q=0.64臥龍山の家(サステナブル住宅)」は、能代市の国道沿いの敷地に建てられている。建物は5間×4間の総2階建てでコンパクトにまとまっており、外観形状はおとなしい箱形に納まっているが、内部は吹き抜けを交えた天井の高い豊かな空間となっている。この住宅では、寒冷地の気候に対して厚い断熱材とトリプルガラスの開口部が採用され、木造でQ値0.64W/m2Kと極めて高い断熱性を備え、高いレベルの省エネルギーを実現している。
冬の暖房は薪ストーブと日射熱集熱壁、給湯は太陽熱+補助熱源灯油ボイラーとして、暖房、給湯のエネルギーを大幅に削減している。日射がないときには薪ストーブのみ、日射があるときには日射集熱壁と太陽熱給湯を利用するようにモードを切り替えて使っている。夏はクールチューブと夜間換気に日射集熱壁の開口を使い、南側の国道の騒音に対してある程度閉じた状態で涼風を取り込み、冷房を不要としている。
こうした高機能の住宅は、住まい手が適切に使いこなすことが重要である。施主は施工した工務店に勤務しており、夫婦とも住宅の機能を詳しく理解している。冬には暖房は朝晩2、3時間ずつ薪ストーブを焚き、冬の晴れた日には日射熱吸収壁の開口を手動で開閉する。夏にはブラインドで日射を調整し、適切な換気口の開閉を行っている。これらを毎日実行できるのも、住まい手がこうしたライフスタイルを楽しんでいるからにほかならない。
材料についても、構造材、外装、床、天井、造作に秋田スギを多用して、地産地消型の資源消費を実現している。大黒柱には樹齢80年前後の大径木を使い、内部空間の中心としての存在感がある。さらに内装には地域材の珪藻土と、徹底して地元の材料にこだわっている。
このように高い性能を持ち、地域産材を積極的に採用した素晴らしい住宅を、住まい手が愛して機能を使いこなしており、サステナブル住宅賞にふさわしいといえる。