IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

硝子繊維協会会長賞第4回サステナブル住宅賞(新築部門)

「特別な暖房のない住宅」

撮影:高田健

建築主I様
設計者加藤裕一KSA一級建築士事務所
施工者(有)山善工務店
建設地東京都西東京市
構造木造
階数2階建
延床面積140m2

講評

緑に恵まれた環境に、爽やかで明快なデザインのサステナビリティに優れた木造住宅を実現している。南側に大きな開口部を設け、庇を活用して、夏は日射をさえぎり、冬は部屋の奥まで日射を取り入れている。長寿命化については、耐久性に配慮し、床下空間の高さを取ることによってメンテナンスのしやすさを確保するとともに、長方形プランの外周壁に構造壁の多くを集約し、家族構成や生活様式の変化への適応性を実現している点が、高く評価できる。設備機器の更新にも配慮している。省エネルギーについては、外周壁の断熱を、外張り断熱と充填断熱を併用したものとするなどにより、Ⅳ地域の次世代省エネルギー基準を大きく上回る性能を実現し、Q値が1.39の、暖房機器を用いなくてもよい住宅としている。そしてこのことにより、エコキュートや太陽光発電を装備したオール電化をローコストで運用することを可能にしており、2010年1月の電気料金が0円であったことは、注目できる。床下の安定した温度の空気を利用する、自然換気とアクティブ換気を併用した換気方式は、夏の涼しさの確保に役立っている。
平面計画のシステムは、8帖を空間モデュールとし、1,2階各々の南側に並べ、北側は水回りや階段とするものであるが、現在は、2世帯住宅を、明快なプランとして実現している。白い外壁のシンプルな外観は、熱負荷の低減に効果があるとともに、優れたサステナビリティを印象付ける。CASBEE評価が5、CASBEEライフサイクルCO2が4であるのも特筆できる。

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