IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

日本木造住宅産業協会会長賞第5回サステナブル住宅賞(新築部門)

「堺パッシブハウス」

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建築主個人
設計者なちゅらる・さーかす
施工者(株)丹生
建設地大阪府堺市
構造木造
階数2階建
延床面積166m2

講評

「堺パッシブハウス」は、都市の幹線道路沿いの住商混在地に立地している木造在来軸組工法の住宅である。設計者でもある施主が、様々な設計上の工夫や設備機器の活用により、快適な生活空間の実現と環境負荷の低減を実現しようとしている。
耐久性・耐用性に配慮した住宅の長寿命化については、長期優良住宅の認定基準を踏まえ、性能評価の劣化等級3レベルを確保するとともに、床下高さを440mmとしている(長期優良住宅の認定基準は330mm以上)。また、構造区画ごとに床下点検口を設置し床下空間の点検を容易にしている。
省エネルギーに関しては、年間消費一次エネルギーの目標を定め、その実現のための各部位の仕様を設定するという意欲的な取組がなされている。(パブリックコメントが行われた省エネルギー基準の見直し案においては、一次消費エネルギーが指標として導入されている。)断熱性能は、従来のⅣ地域の次世代省エネルギー基準であるQ値2.7を大きく上回る0.65を実現しており、冷暖房については、計画換気(熱交換)と床下の蓄熱容量を活用する間接蓄熱法を用いて、夜間時間帯の運転だけで、日中の温湿度の快適性を確保している。給湯については、都市ガスの潜熱回収型瞬間式給湯器を導入しCO2排出量の削減を行うとともに、8.8kwの太陽光発電システムによる自然エネルギー活用を図っている。
また、まちなみとの調和の観点からは、外壁に難燃処理杉と漆喰を用い、2階バルコニーの手すりにも外側に木の仕上げ材を用いることにより、全体として周辺の景観にも配慮しようとしており好感が持てる。
さらにCASBEE評価についてはBEEランクが5、ライフサイクルCO2が4となっていることも特筆できる。
こうした様々な工夫や取組を通じて、ネットゼロエネルギーを超えた住宅を目指す努力とチャレンジ精神は優秀賞にふさわしいものと評価できるが、コストと必要な性能のバランスを含め先導性と汎用性をいかに調和させるかという点について更なる検討が求められよう。

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