IBEC 建築省エネ機構(一般財団法人 建築環境・省エネルギー機構)

日本木造住宅産業協会会長賞第1回SDGs住宅賞

「NORTH LAND PRIDE~HOKKAIDO SOLAR HOUSE~」

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建築主 個人
設計者 株式会社藤城建設
施工者 株式会社藤城建設
建設地 北海道札幌市
構造 木造軸組工法
階数 地上2階
延床面積 131.17m2

講評

 本住宅は、北海道札幌市に建つ木造2階建ての住宅であり、竣工後1年間モデルハウスとして運用し、丸1年間の温熱計測を経て建主に引き渡された。多雪地域で冬でも発電できる家を実現するため、壁面にも太陽光発電パネルを設置することで、雪の照り返しを含め、発電効率を向上させている。これにより、冬でも再生可能エネルギーによる蓄電ができ、建主のEV車との接続を含め、災害時の在宅避難を可能としている。トリプル樹脂窓や十分な断熱材等により外皮の断熱性を平均UA値0.25まで高め、冬は1階リビングの10帖用寒冷地エアコンだけで全館20度以上の室温を保っている。また、夏は2階ホールの6帖用一般地エアコンのみで、階段室から冷気が下りる自然温熱デザインにより全館涼しく保たれる。
 建設に当たっては、地域のプレカット事業者およびツーバイフォー材組立工場を有する建材事業者と共同で、大型パネル工法を実施している。これにより、工期短縮とともに現場での重労働を少なくでき、若い大工や女性職人も活躍しやすく、また、木材廃棄や運搬ロスを削減している。現場管理はクラウド活用によるペーパレス化を徹底し、時間・紙等の資源・人員の最適化を図り、コスト削減にもつなげている。1階外壁には、道南スギの105×30材を無塗装で使用し、メンテナンスフリーの考え方で経年美化を狙っている。プランニングや内装は、こどもの生活環境・教育環境を意識し、回遊性・木の本棚・無垢床材などの工夫をしている。
 寒冷地において、再生可能エネルギー活用と高断熱化による光熱費低減を実現するモデル的な住宅といえる。さらに、地域連携による地域資源・人材の活用や大工・職人不足への対応、資源ロスの削減、災害への備えなど、SDGsの多様なゴールへの貢献を凝縮した取組と評価できる。

 

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