住宅金融公庫総裁賞第6回環境・省エネルギー住宅賞
「T邸」
建築主 | 個人 |
設計者 | 植田優建築工房 |
施工者 | (有)田中建設 |
建設地 | 岩手県盛岡市 |
構造 | 木造 |
階数 | 2階建 |
延床面積 | 169.6m2 |
講評
床下から小屋裏空間まで同じような温熱環境にすることにより、冬期の温熱環境のバリアフリーを実現することを目的に、徹底した断熱・気密化を行い、熱損失係数1.27W/m2K、相当隙間面積0.35cm2/m2を達成している。その上で、東北地方では珍しい冬期のパッシブ換気に取組み、基礎の断熱給気口から給気し、床下コンクリートに埋設したロードヒーティング及び床下設置の3台の蓄熱暖房機で暖められた空気を1、2階居室の給気口から各室に吹き出し、最終的に1階居間吹き抜け部分の屋根面から排気している。また、1階玄関及び2階子供室にも蓄熱暖房機を設置している。これら暖房機の熱源は電気であり、給湯は深夜電力利用温水器、台所は電磁ヒーターと、全電化住宅である。
約3kWの太陽光発電装置、雨水集水タンク、生ごみコンポスト装置、玄関ポーチ融雪用ロードヒーターを設けており、夏期対策としては、遮熱・通風を考えた庇、窓の配置を行っている。更に室内空気汚染対策としての使用建材、工法の選択及び浴室・便所などのユニバーサルデザインにも細かな配慮がなされており、プランニング、省エネ・省資源などの面から全体にわたって丁寧な設計がなされている。
この住宅が高く評価された理由の一つが、今回から応募資料として加えられた「申請住宅生活実感について」の記述内容である。建築主の方が、電力会社に勤務し、オール電化住宅の提案などを担当しているだけに、設計者と密な連絡をとり設計したこと、今後の改善点などを素直に表現していることなど、これからの住宅設計を考える上で、多くの示唆を与えてくれる。