財団法人建築環境・省エネルギー機構賞第6回環境・省エネルギー住宅賞
「K邸」
建築主 | 個人 |
設計者 | 鎌田紀彦・(株)沼田ハウス |
施工者 | (株)沼田ハウス |
建設地 | 山形県新庄市 |
構造 | 木造 |
階数 | 2階建 |
延床面積 | 294.68m2 |
講評
山形県北の断熱地域区分・地域に属する寒冷地の新庄市は、市街を戊辰戦争で焼失し、古い民家もそれ以降の建築である。散在するこの時代の家々が「寒い、暗い、古い」と解体されていくなかで、本住宅は道路拡幅を機に、100年を超す民家2棟を解体再利用してつくられ、その90%が古材活用である。構造用合板で補強された軸組や、パネル化された屋根の小屋組は、スケルトンの力強さよりも居住性を優先したということかも知れないが、それでも夏の小屋裏は38℃に達したとのことで、しかも4月入居で応募時点では本格的な冬を経験しておらず「相当隙間面積」や「Q値」も決して良い数値とは言えない。しかし、12月末の現地審査の際には、床放熱暖房が程よく効き、玄関近くの炭火が加わって心地よく、部屋間や、1、2階間の移動も苦にならない快適な環境を作り出していた。古材活用からすると止むを得ない数値と思われる「相当隙間面積」は、こまめに埋めて解消され、、吹き抜けの大きさを勘案すると「Q値」は実質もっと低いと考えられる。ボード壁部分が幾分ひんやりした感じであったが、新たに漆喰塗りとした内壁に、心配される結露は見られず、茅葺き屋根で無くなった小屋裏を除いて夏も土塗り壁が独特の冷感を発揮し、申請資料の住み手の印象どおりに古民家再生と省エネルギー手法が程良く溶け合っていると評価できる。