住宅の省エネルギー基準
建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律が、平成27年7月8日に公布されました。建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(以下「建築物省エネ法」という。)は、エネルギーの使用の合理化等に関する法律で措置されていた300㎡以上の建築物の新築等の「省エネ措置の届出」や住宅事業建築主が新築する一戸建て住宅に対する「住宅トップランナー制度」等の措置に加え、新たに「大規模非住宅建築物の適合義務」、「特殊な構造・設備を用いた建築物の大臣認定制度」、「性能向上計画認定・容積率特例」や「基準適合認定・表示制度」等を措置したものとなっています。
住宅の省エネルギー性能の評価については、下記の2つの基準を用います。
- 住宅の窓や外壁などの外皮性能を評価する基準
- 設備機器等の一次エネルギー消費量を評価する基準
外皮の熱性能基準
外皮の熱性能基準には、断熱性能を示す「外皮平均熱貫流率UA」と日射遮蔽性能を示す「冷房期の平均日射熱取得率ηAC」があります。いずれも「外皮の部位の面積の合計」に対する指標です。
- 外皮平均熱貫流率UA
- 冷房期の平均日射熱取得率ηAC
一次エネルギー消費量の評価基準
一次エネルギー消費量基準の評価では、評価対象住宅において、共通条件の下、設計仕様で算定した値(設計一次エネルギー消費量)が、基準仕様で算定した値(基準一次エネルギー消費量)以下となることが求められます。
各種制度と適用基準
建築物省エネ法では、「誘導基準」、「エネルギー消費性能基準」、「住宅事業建築主基準」の3つの基準があります。
*BEI(Building Energy Index)
BEI=(設計値(家電等を除く))/(基準値(家電等を除く))
地域区分
建設地の地域区分により基準値が定められています。
住宅の性能基準と仕様基準の概要
性能基準とは
平成28年4月に施行された告示「建築物エネルギー消費性能基準等を定める省令における算出方法等に係る事項(平成28年国土交通省告示第265号)」のことです。
この基準には、外皮に関する評価手法として外皮平均熱貫流率(UA)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)が、設備に関する評価手法として一次エネルギー消費量が定められています。
外皮平均熱貫流率(UA)の算定手順
内外温度差が1℃の場合の、屋根(または天井)、壁、開口部、床から逃げる熱量の合計を全外皮面積で割って求めます。
外皮とは、屋根、天井、壁、開口部、床、土間床、基礎など熱的境界となる部分をいいます。
冷房期の平均日射熱取得率(ηAC)の算定手順
単位日射強度当たりの、屋根(または天井)、全方位の壁および全方位の開口部から侵入する熱量の合計を全外皮面積で割って求めます。
一次エネルギー消費量の算定手順
評価対象となる建物において、地域区分や床面積等の共通条件のもと、実際の建物の設計仕様で算定した設計一次エネルギー消費量が、基本仕様(平成11年基準相当の外皮と標準的な設備)で算定した基準一次エネルギー消費量以下となることを基本とします。
一次エネルギー消費量は、「暖冷房設備」、「換気設備」、「照明設備」、「給湯設備」、「その他設備」のエネルギー消費量を合計して算出します。また、エネルギー利用効率化設備(太陽光発電設備やコージェネレーション設備)による発電量は、エネルギー削減量として差し引くことができます。
仕様基準とは
平成28年4月に施行された告示「住宅部分の外壁、窓等を通しての熱の損失の防止に関する基準及び一次エネルギー消費量に関する基準(平成28年国土交通省告示第266号)」のことです。
外皮の性能に関する基準、開口部の性能に関する基準と一次エネルギー消費量に関する基準が規定されています。
外皮の断熱性能等に関する基準
- 外皮の熱貫流率の基準
- 断熱材の熱抵抗の基準
- 構造熱橋部の基準
開口部の断熱性能等に関する基準
- 開口部比率と熱貫流率の基準
- 開口部の建具、付属部材、軒等の設置に関する基準
一次エネルギー消費量に関する基準
- 暖房設備、冷房設備、全般換気設備、照明設備及び給湯設備の基準