IBEC s(一般財団法人住宅・建築SDGs推進センター)

FAQ

このページでは建築物ホールライフカーボン算定ツール(J-CAT)に関するよくあるご質問と回答を紹介します。なお、質問については、J-CATの使用者から実際に寄せられた質問等をもとに、充実していきます。

(最終更新日 2024/8/8)

 

Q 1 使用登録等に関すること

Q 1-1 使用登録に使うメールアドレスは、社内で複数名が使う共有アドレスでも構いませんか?
A 構いません。ただし、使用登録者は1名としてカウントしますので、登録者限定のオンライン講習会等に参加できるのも1名に限られます。
Q 1-2 J-CATのファイルを破損・消去などしてしまい、再度ダウンロードしたいときは、どうすればいいですか?
A お手数ですが、初回と同じ手順で改めて使用者登録の上、ダウンロードしてください。なお、使用登録者のリスト上では、メールアドレスが同じであれば古い方の登録を消去します。
Q 1-3 登録した所属などが変わった場合、変更届は必要ですか?
A 登録したメールアドレスが変わらない限り、特に必要ありません。メールアドレスが変わったときには、講習会案内や算定ソフトの更新情報等を受け取るためにも、変更登録をされることをお勧めします。なお、変更登録は、初回と同じ手順で進める必要がありますが、ダウンロードの画面が表示された時点で変更登録は完了するので、再度ダウンロードまで行う必要はありません。

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Q 2 算定方法に関すること

Q 2-1 【算定法による算定結果の違い】標準算定法と簡易算定法で同一の建物のWLCを算定した場合、算定値の違いに一定の傾向はあるのでしょうか?
A 一般に、同一建物のWLCを算定した場合、簡易算定法の算定値は標準算定法の算定値より大きくなります。標準算定法は、簡易算定法に比べて広範囲の資材について数量を計上する分、手間もかかりますが正確性も増すため、数値が小さくなる傾向があります。一方、簡易算定法は、主要資材数量からその他資材数量係数を推定する係数を、安全側(不利側)となるように割増をしています。
Q 2-2 【評価期間と建替周期】新築について算定する場合、評価期間と建替周期は同じ年数を入力する必要がありますか?
A 原則は同じ年数を入力することとしています。値は、CASBEE-建築(新築)評価マニュアルの建物用途ごとの耐用年数を参照下さい。ただし、長寿命化評価等を想定し、異なる年数の入力も可能な仕様としています。
Q 2-3 【建物の耐用年数】耐用年数を80年、100年、120年とすることは可能でしょうか。
A 長寿命化の取組みを行う前提で、耐用年数を延長することは可能です。
Q 2-4 【EPDの組み込み方法】資材や設備について、J-CATに組み込まれていないEPDを、メーカーに開示してもらって評価することは可能でしょうか? もし可能な場合は、メーカーにcradle to gate(生産まで)などバウンダリを指定してもらう必要はありますか?
A 現時点ではJ-CATに予め登録されたEPD以外を取り込むことは想定しておりません。確かにEPDによってはバウンダリが異なっており、J-CATではこれを統一的に扱うため、当面は予め登録されたEPDに限っているところです。
Q 2-5 【原単位がないコンクリート】算定ソフトに原単位がない強度のコンクリートには、強度の近いコンクリート原単位を割り当ててよいですか?(例えばFc18はFc24に割り当てるなど)
A 直近上位強度の原単位を割り当てて下さい。
Q 2-6 【原単位がない資材】標準算定法ツールに使用する資材の原単位がない場合、詳細算定法ツールにある原単位を代用、または組み合わせて複合原単位を作成してもよいですか。 NEW!
A 標準算定法において、現段階では登録されていないEPDや複合原単位の追加は不可としております。原単位の無い資材については数量算定対象外とし、「一式工事分(数量算定以外の工事分)」に含まれると想定して、デフォルト値20%又は金額比率を独自に設定して算出して下さい。
Q 2-7 【原単位がない資材(数量大)】該当する原単位が無い資材の入力は、外壁、天井などで数量が大きい場合も「一式工事分」として扱って良いのでしょうか? NEW!
A 各部位の大部分を占める資材については、極力類似する資材のコードを選択することが望ましいですが、どうしても該当する資材がない場合は、「一式工事分(数量算定以外の工事分)」に含まれるとして、デフォルト値20%又は金額比率を独自に設定して算出して下さい。
Q 2-8 【一式工事分の金額比率】一式工事分を金額比率で算定する場合、「建築工事金額」と「一式工事金額」で比率を出すと思うのですが、この場合の「建築工事金額」というのは、基礎、躯体、外装、内装すべての合計金額でしょうか? それとも基礎の一式工事なら、基礎工事金額と基礎工事の一式工事金額で比率を計算するのでしょうか? NEW!
A 一式工事分を金額比率で算定する場合の「建築工事金額」は、基礎、躯体、外装、内装、それぞれの部位ごとの工事金額を用いてください。
Q 2-9 【型枠】標準算定法では、型枠は×(資材数量を入力可能でない)と記載されている一方で、標準算定法ツール(エクセル)の3.9その他に「追_型枠★」があり、型枠の数量(m2)は積算書で読み取れるので、入力してよいですか。
A 簡易算定法及び標準算定法では、原則として型枠は資材数量入力の対象外としています。ただし、RC造の場合には、型枠の数量入力を推奨しています。その理由は、RC造は他の構造形式に比べて型枠によるGHG排出量の全体に占める割合が大きく、数量入力することで、数量入力以外の躯体一式工事分の比率、デフォルト値20%を低減できる可能性が高いためです。
Q 2-10 【免震装置】標準算定法で免震建物の算定をしたいのですが、免震ゴムや弾性すべり支承などの原単位はどうすればいいですか。
A 標準算定法において、免震ゴムや弾性すべり支承などの免震装置の原単位は現在ありません。したがって現段階では、免震装置は「躯体一式工事分(数量算定以外の工事分)」に含まれるものとして、デフォルト値20%又は金額比率を独自に設定して算定下さい。
Q 2-11 【厚みの異なる間仕切壁】厚みが異なる間仕切り壁について、すべて算定ソフトの原単位「5.2-31間仕切下地」での「m2」で計上しましたが、石膏ボード(PB)の厚さや軽量鉄骨下地(LGS)による換算はどのようにすればいいですか?
A 算定ソフトには、「5.2-31間仕切下地」とは別に、種類別・厚み別のボードの原単位、LGS下地の原単位が用意されているので、その中から類似仕様の原単位を選択下さい。
Q 2-12 【サッシの面積】FIXや回転窓以外のサッシが多いため、アルミサッシ(4.3-05a)+ガラス(4.3-31-1~のガラス)の組合せで入力しようと考えています。この場合、アルミサッシの面積はガラス面積抜きで算定してよいでしょうか。
A アルミサッシ(4.3-05a)の面積についても、ガラス面積を含んだ、見付面積を入力下さい。
Q 2-13 【鋼製建具】外部開口部の鋼製建具(スチールドア)の原単位がありません。その一方で、アルミサッシ(4.3-05a)の備考欄には「アルミ12kg、スチール1.7kg」と記載がありますが、外部開口部の鋼製建具もアルミサッシ(4.3-05a)として算定するのでしょうか。
A 外部開口部の鋼製建具(スチールドア)は数量算定対象外とし、「一式工事分(数量算定以外の工事分)」に含まれると想定して、デフォルト値20%又は金額比率を独自に設定して算出して下さい。
また、鋼製建具内のガラスは、内部開口部、外部開口部の両方とも別途数量を拾って算定して下さい。
なお、内部開口部の鋼製建具(スチールドア)は、スチール扉(5.3-01)の原単位を適用して、数量を拾って下さい。
Q 2-14 【バルコニー手摺】標準算定法入力シートの「4.9-03 バルコニー手摺」以降の5項目は、住宅/非住宅に関わらず、高さ1100程度のバルコニー手摺(設備バルコニーや外部通路の手摺など含む)について入力すると理解して良いですか。また、鉄骨階段の手摺も該当しますか。 NEW!
A そのように理解して数量を入力して下さい。なお、鉄骨階段の手摺は、鉄骨階段の鉄骨量に手摺の重量まで含まれている場合は入力不要です。含まれていない場合は、バルコニー手摺にて別途入力して下さい。
Q 2-15  【防水工事の分類】防水工事について、防水の種類や工法による分類を教えてください。
A 次下記を参考に分類して下さい。
  ・露出アスファルト防水(屋根):4.1-21屋根露出防水
  ・保護アスファルト防水(屋根):4.1-01屋根歩行防水
   AIJ_LCA&LCW_Ver5.01の「資材構成シート」に複合原単位の資材構成の記載※がある通り。
   (※ 4.1-21 屋根 露出防水 (断熱材を除く)=アスファルト防水、4.1-01 屋根 歩行防水 (断熱材を除く)
   =押さえコンクリート60t+溶接金網+アスファルト防水)
  ・塗布防水(屋根):4.1-22シート防水
  ・塗膜防水(屋根):行コード2072011塗料(詳細算定法)
Q 2-16  【外構工事の算定】算定対象とする範囲として外構工事も含まれますが、細目に「外部床」がありません。外構工事も算定に含める必要がありますか?
A 原則として算定の対象範囲となります。コンクリート、鉄など数量化できるものは、躯体など他の細目へ計上し算出下さい。
Q 2-17  【冷媒管長】冷媒の初期充填量の算定のために必要な冷媒管長について、算定時点で未確定の場合はどのように算出すればよいですか?
A マニュアル内に空調容量当たりの冷媒液管長の目安が示されているので、参照して下さい。
Q 2-18  【複数空調機器の年平均漏洩量】空調機器別の年平均漏洩量において、同じ項目の中で3種類以上の機器を有するとき、どのように記入すればいいでしょうか。 NEW!
A 空調冷媒-1、空調冷媒-2以外の列も使用し、空調冷媒の情報を入力ください。44行目(更新周期)~48行目(廃棄時フロン回収率)を各空調冷媒の値に変更の上、L49~L56のセルの数式を使用する列の49~56行目にコピーして算定してください。
Q 2-19 【放射空調の評価】J-CATのWLC算定に際し、対流空調のみならず、放射空調の考慮は可能でしょうか。
A 放射空調のオペレーショナルカーボンについては、BESTなどのエネルギーシミュレーションツールを使って求めたBEI値により評価が可能です。
Q 2-20 【電力の排出係数】[入力シート (B6, 7) ]にて既存の消費電力量による算定を行う際に、原単位はセルE21の[5111001 事業用電力]が適用されることになっていますが、ここに実際の電気事業者が公表しているCO2排出係数を直接入力して変更することは可能でしょうか? NEW!
A J-CATでは、エネルギーに関して算定・評価の目的に応じて原単位を変更することが可能となっています。採用した原単位を算定結果の特記事項や詳細算定結果の原単位の欄に明記して、算定条件を明確にすることを強く推奨します。
特に気候関連情報開示に関するSSBJ基準案において、Scope2についてはロケーション基準及びマーケット基準により測定したGHG排出量の開示が求められていることにご留意ください。
Q 2-21  【更新周期、修繕率】更新周期、修繕率について初期値が入力されていますが、数値の変更は可能ですか?
A 数値の変更は可能です。ただし、最新の(公社)ロングライフビル推進協会(BELCA)のデータ集や(一財)建築保全センター(BMMC)の建築物のLCCデータ集の最新値、実績などの妥当な根拠に基づいた数値である必要があります。
Q 2-22 【太陽光発電設備の耐用年数】建物の耐用年数は、CASBEEを利用して30年や60年に設定されますが、太陽光発電設備の耐用年数は何年でしょうか。
A 建物の耐用年数とは別に、資材・設備ごとに更新周期が設定可能なので、それぞれに適切な周期を設定して算定することが可能です。なお、ツール開発SWGで行ったケーススタディでは、太陽光発電設備の更新周期は20年としています。
Q 2-23 【新築時等の廃棄物量】J-CATでは、日本建築学会のLCAツールとは異なり、新築時に出る端材や残土の処理をはじめ新築・建替・修繕・改修時の廃棄物量が、WLCの集計表には反映されていないように思いますが、どうですか? NEW!
A J-CAT(2024.5試行版)では、新築・建替・修繕・改修時の解体処理と廃材搬出(道路輸送)の環境負荷は、廃棄物処理分を含む工事分倍率にて計上されているものと考え、二重計上を避ける意図で、あえて日本建築学会のLCAツールで算定されている新築、建替、修繕、改修時の「廃棄処分」の値を未計上としております。

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Q 3 その他

Q 3-1 J-CATは登録商標ですか?
A 2024年5月現在、「J-CAT」(文字列)として商標登録出願中です。
Q 3-2 公開されたJ-CATに「試行版」と書かれているのはどういう意味ですか?
A J-CATで使用している排出量原単位は、J-CATの開発当時最新であった(一社)日本建築学会の「AIJ-LCA原単位データベース」を基本としていますが、当該データベースが2024年3月に更新されたため、これに対応したJ-CATの改訂を計画しています。このため、改訂までのものを「試行版」としたものです。
Q 3-3 J-CATのマニュアルや算定ソフトを複製しても良いですか?
A 使用登録者が自身のバックアップ用として複製することや、算定結果を入力内容も含めて保存するために予め算定ソフトの複製を別途用意しておくことは構いません。
一方で、マニュアルや算定ソフトを単に複製して頒布することは、固くお断りします。
Q 3-4 J-CATのマニュアルや算定ソフトの一部を他の著作物に転載することはできますか?
A  J-CATのマニュアルや算定ソフトは、(一社)日本建築学会の「建物のLCA指針」や(一社)不動産協会の「GHG排出量算定ツール」の内容の一部の利用許諾を得て作成しており、J-CAT本来の目的以外での利用が原則として認められていません。このため、J-CATのマニュアルや算定ソフトの一部を他の著作物に転載することは、固くお断りいたします。
なお、算定結果シート又はその一部を算定対象となった建築物に関する報告書等に掲載するといった本来の目的に沿った使用の場合や、論文等において出典を明記した上でJ-CATの記載内容の一部を紹介するといった著作権法で認められている引用の場合は、この限りではありません。
Q 3-5 J-CATによる実際の建築物のホールライフカーボンの算定を、IBECsに依頼することはできますか?
A 残念ながらIBECsには算定のご依頼に応えられる体制がないので、その建築物に関わる設計事務所、建設会社等にご相談ください。
Q 3-6 J-CATのマニュアルp.4に、日本建築学会の「建物のLCA指針-温暖化・資源消費・廃棄物対策のための評価ツール」第4版(2013年2月25日刊)を購入が推奨されていましたが、旧版であるため入手ができません。どうすればいいですか?
A 新たに刊行された「建物のLCA指針-温暖化・資源消費・廃棄物対策のための評価ツール-」第5版(2024年3月刊)を購入してください。データベースは更新されたものの、LCA算定の基本的な考え方については変更が無いため、旧版と同様に解説の参照が可能です。

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「ゼロカーボンビル推進会議/公開資料」のページに、連続講座第3シーズン第1回「建築物ホールライフカーボン算定ツール:J-CATの概要と使用方法」(2024/5/20開催)の質疑応答記録を掲載しましたので、あわせてご参照ください。(2024/6/11)

 

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